アレルギーの治療法
「舌下免疫療法」と「皮下免疫療法」
スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法には、アレルゲン免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法には、治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」と、治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」があります。それぞれの特徴は表のとおりです。
免疫療法は、その他のアレルギー疾患の進展を予防する効果も期待できます。
舌下免疫療法 | 皮下免疫療法 | |
---|---|---|
投与方法 | 舌の下に薬を投与 | 注射 |
投与する場所 | 自宅(初回は医療機関) | 医療機関 |
痛み | なし | あり |
アナフィラキシーのリスク | ほとんどなし | 稀に現れる |
効果 | 8~9割 | 8~9割 |
治療期間 | 3~5年 | 3~5年 |
子どもの舌下免疫療法は3歳から
3歳以上のお子さまで、スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎と診断されていれば舌下免疫療法を受けていただけます。正しく続けていただくことで症状を和らげ、今後の治療薬の減量・中止が期待できます。
舌下免疫療法で治療ができる病気
- スギ花粉症
- ダニ通年性アレルギー性鼻炎(ハウスダスト)
スギ花粉症に対しては「シダキュア」、ダニアレルギーに対しては「ミティキュア」「アシテア」という薬品を用いて治療します。
舌下免疫療法のメリット・デメリット
メリット
- 自宅で治療ができる
- 症状を抑えられる
- アレルギー体質を改善できる
- 頻繁な通院の必要が無い
デメリット
- 服用前後2時間は激しい運動や入浴が出来ない(慣れてくると制限は緩むことが多いです)
- 長期による服薬が必要
- 副作用の可能性がある(殆どは開始1か月以内といわれています。)
治療の流れ
初回の投与は当院で行い、二日目からは、ご自宅での投与となります。1日1回の治療を毎日行うことで、1年目から症状の軽減がみられ、そのまま治療を約3年継続することで改善に向かいます。
1アレルギー検査(血液検査、皮膚検査)
過去の検査データがある場合は不要です。
2診断に基づく初回投与
検査結果より、薬の投与を開始します。
初回は医師監修のもと行い、異常がなければ翌日から自宅で服用します(経過観察のため院内で30分お待ちいただきます)。
3【1週間後】再診(必要に応じて)
患者様によっては1週間後に来院いただき、服用状況や副作用の確認後、問題なければ「増量期」として薬を増量して処方・投与します。
4【月1回】定期的な受診
服用状況や副作用の確認後、問題なければ1か月分の薬を処方します。
「維持期」として3年以上の投薬を続けます。
5治療終了
舌下免疫療法を3~5年継続して行うと、7~8年間は症状が抑制されます。
症状が再燃するケースもありますが、治療を再開することで速やかに効果を得ることができます。
※治療の中断はご自身で判断なさらず、医師の指導の下行ってください。
副作用について
- 口内や唇や舌、耳の中のかゆみ
- 鼻症状、唇など粘膜の浮腫
非常にまれですが、以下の副作用が出る場合があります。
その場合は速やかに当院もしくは近隣の医療機関へご相談ください
- 蕁麻疹
- 嘔吐、腹痛、下痢
- 喘息発作
注意点
- 治療は最低3年間続ける必要があります。
- 投薬中は定期的な通院の必要があります。
- スギ花粉の治療開始時期は6月~12月下旬に限ります。(検査や予約はいつでも可能です)
- 重症の喘息や心疾患をお持ちで服用中の方は治療できません。
- 舌下免疫療法で強い副作用があった方も治療を行うことができません。
- 薬の投与後5分は、うがい・飲食を避けてください
- 投与後2時間程度は、運動や入浴を避けてください(慣れてくると制限が緩むことが多いです)
子どもの皮下免疫療法
アレルゲンを注射で直接体内に入れる治療法です。舌下免疫療法のように毎日服用する必要はありませんが、通院が必要となります。徐々に通院間隔は延び、負担も少なくなります。
皮下免疫療法で治療ができる病気
- ダニアレルギー(気管支喘息、アレルギー性鼻炎)
- スギ花粉症
メリット・デメリット
メリット
- 毎日の薬の服用の必要が無く、通院のみで治療できる
- 徐々に通院の間隔を延ばすことができる
- ダニアレルギー・スギ花粉の同時治療ができる
- トータル的な医療コストを削減できる
デメリット
- 定期的な通院が必要
- まれに全身反応が起こる
- 痛みを最小限におさえた針を使用しているが、注射での投与になる
費用
保険診療になりますので、子ども医療費助成の対象となります。
舌下免疫療法(3割負担の場合) | 約1,000円 |
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皮下免疫療法 | 約1,000円 |