ロタウイルスとは?何が原因で起こる?
ロタウイルスは、感染力が非常に強い「ロタウイルス」が体内に侵入することで感染し、胃腸炎を引き起こす病気です。気温が低い1月~4月に発生することが多くみられます。
5歳までに大多数のお子さまがかかると言われており、この年齢における入院患者の約50%はロタウイルスが原因とみられています。特に初めてロタウイルスに感染した乳幼児には重い脱水症状や、血圧低下、脳症、けいれん、急性腎不全などを引き起こすことがあり、命に関わることもある感染症です。
潜伏期間
潜伏期間は1~3日です。3~7日間は下痢や嘔吐が続くことがあります。
感染経路
感染者の便や吐物の処理後に手洗いや消毒が不十分な状態で触れた場所に接触してしまうことで感染します。
感染力が非常に高く、保育所や幼稚園、小学校などで集団感染することも多くみられます。また、数週間は便にロタウイルスが含まれていることがあるため、感染対策にも充分な注意が必要です。
ロタウイルスにかかったときの症状―いつまで続く?
主症状
- 嘔吐
- 下痢
- 発熱
その他のウイルス性の胃腸炎と比べて激しい下痢や嘔吐が7日間程度続き、回復にも時間を要します。
また、脱水症状を起こしやすくなりますので、注意が必要です。
脱水がひどい場合
水様性下痢が続くため、乳幼児の脱水症状を引き起こすことがあります。水分補給や栄養補給も必須ですが、症状がひどい場合は点滴治療や入院治療が必要な場合もありますので、早めの受診が必要になります。
治療方法
現時点では、ロタウイルスに有効な治療薬はなく、下痢や嘔吐などの症状に対する対処療法のみになります。こまめな水分補給で脱水を防ぎながら、自然に治っていくのを待つしか方法はありません。
ロタウイルスの予防・対策方法
手洗い
帰宅後やトイレの後は特にしっかり手洗いをしましょう。手洗いをしても爪などにウイルスが残りやすいので、さらにアルコール消毒液を使用して予防しましょう。
室内・日用品の消毒
ロタウイルスは環境に強く、乾いた場所では約10日間生きています。そのため、ドアノブや電気のスイッチなど、よく触れる場所は、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒をしましょう。トイレやお風呂もこまめな掃除をして清潔に保つことが大切です。また、調理器具や食器などを熱湯で1分以上加熱するのも効果的です。
ワクチン接種
ロタウイルスに有効な薬はない上に、初めて感染する乳幼児は、重症化するリスクがあります。ワクチンを接種することにより、ロタウイルスに対する抗体ができ、重症化を予防したり、胃腸炎による入院患者を約70~90%減らすことができると報告されています。
ロタウイルスのワクチンは生後2ヶ月から接種可能で、初回の接種は副反応を防ぐために生後14週6日までに行います。また、接種後1週間は、便にワクチンウイルスが排泄されますので、感染が広がらないように手洗いをしっかり行って予防しましょう。
二次感染の予防
ロタウイルスは、感染力が非常に強く、ほかのウイルスとは違い消毒用のアルコールにも強いウイルスです。また、症状がなくなっても約1~2週間は便の中にウイルスが生存しているため、子どもだけでなく大人にも感染します。汚染された箇所を、うすめた塩素系消毒剤でこまめに消毒したり、換気をよくするなどの工夫が大切です。また、感染者の排泄物を処理する時は、マスクや手袋を着けて処理しましょう。
よくあるご質問
保育園(幼稚園)はいつから行ってもいいですか?
症状が改善し、全身状態が良ければ登園は可能です。しかしロタウイルスは非常に感染力も高いため、念入りに手洗いをするなどの注意が引き続き必要です。
大人もロタウイルスにかかるのですか?症状は?
大人が感染してもほとんどの場合、症状は出ないといわれていますが、体力が落ちている方やお年寄りは特に注意が必要です。感染者が触ったものに間接的に触れることや、汚染された水や食品などを介してウイルスが体内に入ることでも感染のリスクがありますので身の回りを清潔にすることやこまめな手洗いなどの感染予防も心がけましょう。