日本脳炎とは?感染する原因は
日本脳炎は、蚊が媒介するウイルスで起こる感染症です。豚などの体内でウイルスが増殖し、その豚を刺した蚊がヒトを刺すことで感染します。多くの方は、感染しても症状が現れない場合がほとんどですが、稀に高熱、頭痛、嘔吐などの症状が出ることがあります。さらに光への過敏症、意識障害、脳の障害などがみられるケースもあり、感染した約20~30%が死亡、30~50%は後遺症が残ると言われています。特に日本は危険地域に含まれているため、蚊の動きがさかんな夏は注意が必要です。また、これまで報告されている患者の年齢は、高齢者が多くをみられていましたが、近年ではお子さまにも発生しています。
日本脳炎の由来は…なぜ日本?
1933年、日本で流行っていた奇病がウイルスによる脳炎が原因だとわかりました。その研究をしていた先駆者が日本人だったために、「日本脳炎」と名付けられました。感染する危険のあるエリアは、豚や蚊が多い高温多湿な地域と言われており、日本の中でも九州、沖縄地方、中国・四国地方で特に発生しています。また、日本以外でも東アジア・東南アジア・南アジアなどにも多く見られます。
日本脳炎を発症したときの症状
症状が現れず経過することが大半ですが、症状が出る場合は6~16日間の潜伏期間のあとに高熱・頭痛・嘔吐・意識障害・けいれんなどが見られます。
特に小さなお子さまは腹痛、下痢を伴うことも多いといわれています。さらに、項部硬直、光線過敏などの意識障害とともに、神経系障害を示唆する症状などが現れ、後遺症が残ったり、亡くなったりすることもあるといわれる恐ろしい感染症です。
日本脳炎の治療方法
日本脳炎自体の決定的な治療法は現在見つかっていませんが、呼吸の異常やけいれんなど症状に合わせた治療を行います。
ステロイド療法は症状が一時的に改善することはありますが、死亡率や後遺症などを改善することはできないと言われており、なるべく自分の力で回復するのを待つしかありません。
また、近年の日本脳炎に感染した患者のほとんどが、予防接種を受けていなかったことがわかっており、予防に有効なことが証明されているワクチン接種や、蚊の対策を行って事前に感染を予防することが重要になります。
日本脳炎を予防するには
蚊の対策
蚊に刺されないために、肌をなるべく出さないような衣服を選んだり、虫除けスプレーの使用などで対策します。蚊が生息しやすい水田近くなどは特に注意が必要です。
予防接種
近年の日本脳炎患者のほとんどが予防接種を受けていなかったことがわかっており、実際に日本脳炎のワクチンが予防に有効なことは証明されています。ワクチン接種により、日本脳炎のリスクを75%~95%減らすことが出来るため、忘れずに予防接種を受けることで予防に繋がります。
日本脳炎のワクチンについて
日本脳炎ウイルスに感染すると約1000人に1人が日本脳炎を発症、その中の20~40%が亡くなってしまうといわれています。また、生存者の45~70%に後遺症が残るため、忘れずに接種しましょう。
推奨される回数と接種時期
回数 | 定期接種の対象 | 接種時期 | |
---|---|---|---|
第1期 | 1回目 | 生後6か月~7歳半 | 3歳になったら |
2回目 | 初回の1~4週間後 | ||
3回目 | 4歳 | ||
第2期 | 4回目 | 9~12歳 | 9歳 |
ワクチンの副反応
- 赤みや腫れがみられることがありますが、通常は2~3日で消失します
- まれにアナフィラキシーやけいれんなどがみられる場合がありますので接種後30分程度は特に注意が必要です
接種後の注意事項
- 顔色が悪い、呼吸が苦しそう、視線が合わない、声かけに対して反応がおかしいなどの異変がみられる場合は、すぐに診察を受けてください
- 入浴時は、接種した箇所をこすらないでください
- 接種当日は激しい運動は避けましょう