子どもの便秘
便を出すときに痛がる、便が5日間続けて出ていない、週に3回以下しか出ないなどの場合は便秘と言われており、食生活、体質、ストレス、排便習慣の乱れなどさまざまな原因で起こります。また、便秘はそのままにしておいていいものではないので、お腹が張っている、腹痛がある、食欲が無い、排便時につらそうにしているなどお子さまに気になる症状がみられたら必ず受診しましょう。早期の発見や適切な治療によって改善が期待できます。
子どもが便秘になる原因
生後3~4か月までの赤ちゃん
赤ちゃんは消化器官が未発達な上に便を出す力が乏しいため、便秘を起こしやすいといわれています。まだお腹の力が弱いため便を出す力が弱く、回数が少なくなり、お腹が張ってしまうことがあります。また、お腹の張りによってミルクを飲む量が減ったり、もどしたりするような様子がみられることもあります。その他にもお腹や肛門などに病気が隠れていないか診察が必要な場合もあります。元々赤ちゃんの排便のペースは不安定なので変わったよう様子がないかよく観察することが大切です。
1歳すぎのお子さま
離乳食から幼児食への切り替わることによる影響や自我の芽生えによる便の我慢や水分不足によっても便秘になりことがあります。また、便秘による排便時の痛みがみられると余計に排便を我慢し、便秘が悪化することがあります。
2~3歳のお子さま
この時期に行うことが多いトイレトレーニングによる影響でトイレを我慢し、便秘に繋がることがあります。
また、繊維成分の少ない食事や消化の良いものばかりを食べていることから、便意が起こりにくくなるケースもあります。
子どもの便秘は放置NG!悪循環の原因に
お子さまの便秘を放置すると症状が悪化するだけでなく、排便する機能がしっかり備わらずに大人になっても便秘の悩みが続くことがあります。
しばらく排便を我慢していると便意が遠のき、大腸に便が残ったままになってしまいます。残った便は、硬くなってしまうため、排便時には非常な痛みを伴います。
さらに便がたまって直腸にある状態が続くと、腸が鈍感になってますます硬くなっていき、悪循環が生じてしまうのです。
幼児期になったら、毎日決まった時間に排便する習慣をつけたり、生活リズムを整えることも大切です。また、排便習慣が身につかないことで、精神的にも悪影響を及ぼすことがあるため、早めの治療が必要となります。
症状と受診の目安
このような症状・お悩みはありませんか?
- 便をするのを我慢する、嫌がっている
- 食欲がない
- ねっとりとした便がかたまりで出る
- おならをする回数が多い
受診の目安
便秘と同時に以下のような症状がある場合は、医療機関へ早めにご相談下さい。
- 腹痛
- 高熱
- 吐き気
- お腹の張りが強い
- 便に血液が混じっている
便秘の治療方法
生活・排便習慣
水分をしっかり取り、朝食後には余裕を持ってトイレの時間を確保できるようにしましょう。
また、適度な運動を取り入れることも大切です。また、幼児期のお子さまでトイレトレーニングをされている場合は、便秘を悪化させないためにも、無理強いせずに、叱らずに、長い目で見守ってあげてください。
食事療法
3食規則正しく、バランスの取れた食事をとるようにしましょう。食物繊維の多いものを食事に取り入れたり、水分をこまめにとるように指示することもあります。
便秘を解消・予防する食べ物や飲み物
腸内環境を整える効果がある食物繊維を多く含まれている食材やオリゴ糖を飲むなどがおすすめです。また、料理にオイルを入れることで便が軟らかくなり、便秘の解消が期待できます。
薬物療法
浸透圧性下剤
腸管内に水分を移行させ、便を軟らかくし、排便を促す作用があります。モビコール®や酸化マグネシウムなどを用います。
刺激性下剤
腸の粘膜や大腸などを刺激し、排便を促す作用がある薬です。
消化管運動賦活薬
モサプリドクエン酸塩が代表的ですが、使用できるのは学童期以降になります。
漢方薬
大建中湯、小建中湯、大黄甘草湯、調胃氶気湯、桂枝茯苓丸などの漢方薬が代表的です。
便秘を解消するマッサージ方法
便秘には、やさしくお腹をマッサージするのも効果的と言われています。
反時計回りに大きく「の」の字を描くようにして、ゆっくりとさすります。力の入れ具合は、お腹が少しへこむ程度の強さで大丈夫です。
お風呂上りなど、血行が良いときに行ってあげるとより効果が得られます。